「ちょっと俺の娘にはこの音楽を説明出来ないな…だって彼女は狂った騒音だとしか思ってないから」
「俺は世の”プログレッシブ(先進的な)”メタルと名乗るヤツらの99%よりもコイツらがプログレッシブだと断言できる」
「彼らのバラードはよく練られているよ。でもクッソ速い曲のブチ切れるようなドライブ感に気が狂いそうになるんだ」
(Youtubeのコメント欄より)
2010年に突如現れたサックスとドラム+キーボードのピエロ二人組によるユニットClown Core(クラウンコア)。フリーインプロビゼーションにノイズ、エレクトロ、ファンクメタル、ダブステップ、スムーズジャズとハードコアが混ざり合ったエクストリームなサウンド、その合間に相手をおちょくるように謎のサウンドロゴや8bitチップチューンが顔を出すーーこんな音楽にジャンルのタグを付けるのは諦めるしかない。
セルフ・タイトルのアルバム「clown core」(2010)を皮切りに「Toilet」(2018)、「Van」(2020)、「1234・EP」(2021)と定期的に作品を発表し、あらゆる音楽の要素を詰め込んだ旺盛なアイディア+超絶テクニックと下劣で人を喰ったようなセンスの相反する2つの要素からなるサウンドは、愛ある音楽ファンに幾つもの????を生み出し脳を破壊し続けてきた。
例えば「Toilet」と同時にYouTube上に発表されたヴィジュアル・アルバム。
2人のピエロがポータブル・トイレに所狭しと収まり、サックスとキーボード、ドラムとキーボード(2人とも二刀流なのだ)でセッションを繰り広げる。歌詞は食事時にはとても聴けたものじゃない内容ばかり(幸いにもデスボイスで判定不可能なのではあるが…)。それでいて目がクラクラするような攻撃的な高速ビートに合いの手を入れるようなバイクのクラクションとオナラのサンプリング音の”凄いとバカバカしい”が交互に知覚に訴えかけてくる。
かのモーツアルトは数々の名曲とともに数多くの下ネタソングも量産してたというが、Clown Coreもまた天才たちの所業だ。
ひと言だけ最後にFRUEに贈りたい言葉がある「Clown Coreを呼ぶなんて本当にFRUE道化死てるぜ!」
text by Hideki Hayasaka